「お金持ちになる人」は欲望を先送りできる

「目先の欲求を辛抱したほうが、将来の成功につながる」ことを証明した実験を紹介しましょう。スタンフォード大学で行われた心理学者ウォルター・ミッシェルの「マシュマロの実験」です。実験は、4歳の子供を集めて行われました。

椅子と机だけがある殺風景な部屋へ、1人ずつ通されます。机の上にはお皿が置かれ、そこにマシュマロが1個乗せられています。実験者は、子供に「マシュマロを食べてもいいよ」と勧めます。そして、子供が食べようとしたときに、次のように言います。

「私はちょっと用があるので外に出るので、マシュマロは君にあげる。でも、私が戻ってくるまでの15分間、食べずに我慢していたら、マシュマロをもう1個あげよう。私のいない間にマシュマロを食べてしまったら、2つ目は無しだよ」

それで、部屋の外に出ます。
部屋に残った子どもの様子は、隠しカメラで観察されています。

我慢できる子供が、将来は成功する

結果は、我慢できずに食べた子供が3分の1。我慢できた子供が3分2でした。更に、この実験の凄いところは、その後の長期にわたる追跡調査が行われたことです。結果は非常に興味深いものとなりました。

我慢できなくてマシュマロを食べた子供と、我慢できた子供のその後の「社会的成功度」に、相関関係が見られたのです。マシュマロを食べずに我慢できた子供のグループの方が、周囲から「優秀」と評価されていました。

また、「大学進学適正試験」(SAT)の点数にも大きな差がでました。我慢できた子供の方がポイントが高かったのです。この結果は、「幼児期のIQ」よりも「我慢できるか(自制心があるか)」と言うことの方が、成績や人物評価に大きく影響することを裏付けています。

その後も、この追跡調査は続きました。調査の結果「この傾向は生涯に渡って継続する」ことが判明しています。我慢できる子供の方が、成績も人物評価も高いということで、高収入になっているのではと考えられます。

つまり、この実験結果が意味するところは「欲望を先送りできる人は、お金持ちになる可能性が高い」ことを示しています。クレジットカードのキャッシングとか、リボ払いを利用している人は、我慢できずにマシュマロを食べてしまう人ではないでしょうか。

 

人は、将来の価値を割り引いて考えている

さて、ここで質問です。あなたは、どちらを選びますか?

(A) 今日1万円プレゼントします。
(B) 1年後に1万1000円プレゼントします。

(A)を選んだ人は、目先の利益を優先している人です。人は、意識しなくても将来得られる価値を現在の価値で割り引いて考えがちです。これを経済学で「時間割引」といいます。

人は将来の価値を実際の価値より小さく感じてしまう傾向が強いのです。これを「時間割引率」といいます。つまり、貯蓄で得られる将来の価値を軽く見ているということですね。上記の例では10%の割引率となります。

あなたは、今もらえる1万円に対して、いくらの金額ならば1年間待てるでしょうか? 1万5000円ですか? それとも2万円ですか? 3万円でしょうか…。この金額が、多い人ほど時間割引率が大きく「現在の価値を重視」している人になります。

 

人生の「時間割」が分かるとモチベーションが上がる

人間は、常に合理的な判断をしている訳ではありません。では、時間割引率が大きい人は、どうすれば良いのでしょうか。人生について、計画を立てることです。計画を立てると、色々な意味で自制心を持てるのではないでしょうか。試しに自分の人生を24時間に当てはめた「時間割」を作ってみましょう。

 

 

 

 

 

人生の時間割
人生の時間割(0〜84歳)

 

 

たとえば生まれたときを0時、84歳を24時にします。あなたは、今何時でしょうか? 25歳は、まだ午前7時です。新聞を読んだり、本を読んで知識や情報、スキルを高める時期です。35歳なら午前10時です。これから仕事を始めるところです。これからお金も貯まっていく時期です。

45歳は、ランチタイムが終わったところです。午後の仕事に向かって準備は万全ですか? 教育費、住宅などの出費も多くなります。ここはしっかりと稼がなければいけません。9時から17時までは、どんどん仕事をこなし、キャリアアップを目指します。ここが人生で最もお金を稼ぐ時間帯です。17時には、60歳を迎えようとしています。この時間でだいたい貯蓄が見えてきた人はペースダウンになります。しかし、まだ老後の資金が足りないようだと……楽しいアフターファイブを楽しむためには、あと一踏ん張りする必要がありますね。

このように考えることで、将来に対してビジョンを描くことができ、モチベーションを高めることができるのではないでしょうか。

この機会に、自分の人生の「時間割」を作ってみてはいかがでしょうか。